10. 光の予感(再)
午後、厚い雲が少し裂け、教室の床に四角い光が落ちた。背後から「ちくわ」と呼ばれても、拒絶と受容の境目に立てる。押し返さず、押し流されず、ただ輪郭を保つ。
心の中で小さく発声する。――もち。自分の声で呼ぶと、音は体の内側に沈み、やがて芯になる。変わらないものを抱えたまま、それでも変わっていくやり方が、ほんの少しだけ見えた。窓の外で、雲の綻びがもう一段広がった。
光は長く続かない。だが床に残った四角い明るさは、数分後の自分にも効力を与える。次の授業のチャイムが近づくにつれ、胸の芯が少しだけ太くなった。
ノートの端に小さな□を描き、そこへ『光』と書く。意味は薄いのに、視界の片隅で四角は何度も目に留まり、姿勢をわずかに支えた。
心の中で小さく発声する。――もち。自分の声で呼ぶと、音は体の内側に沈み、やがて芯になる。変わらないものを抱えたまま、それでも変わっていくやり方が、ほんの少しだけ見えた。窓の外で、雲の綻びがもう一段広がった。
光は長く続かない。だが床に残った四角い明るさは、数分後の自分にも効力を与える。次の授業のチャイムが近づくにつれ、胸の芯が少しだけ太くなった。
ノートの端に小さな□を描き、そこへ『光』と書く。意味は薄いのに、視界の片隅で四角は何度も目に留まり、姿勢をわずかに支えた。