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未読

09. 雨宿りの単位

あらすじ:にわか雨と他愛ない会話。ネットの単位では測れない時間が積もる。
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帰り道のにわか雨に捕まり、コンビニの軒先へ駆け込む。隣に同級生が一人、濡れた前髪を指で払っていた。「マジで降ってきたな」。それだけで会話は終わるが、沈黙は気まずくない。

既読も既視感も関係ない、生の単位。雨粒がアスファルトを叩く音に、校内放送のジングルが遠く重なる。パッケージのビニールが小さく鳴り、レジの電子音が応える。短いのに濃い時間が、屋根の下に薄く積もっていく。

やがて雨脚は弱まり、雲の端がほぐれていく。信号が青に変わるのを待ちながら、靴裏の水を軽く払った。会話は始まらず、終わりもしないまま、同じ方向へ二歩だけ歩いた。

店員が店先のマットを絞り、水が道に走った。終わりのない会話より、始まらない共存のほうが、今日の自分には穏やかだった。