06. 雨粒の数え方
六月の放課後、廊下の空気に雨の匂いが混ざる。「教科書、忘れた。見せてくれない?」前の席のやつが何でもない顔で言う。ノートを差し出すと「助かる」と短く返る。
たったそれだけで、胸の内側に細い芯が通る。役に立てるという感覚は、広げた傘の骨に似ている。見えないところで形を支え、布を緊張させ、雨粒を流していく。窓の外で最初の雨が弾け、校庭に不揃いな濃淡を描いた。自分もまた、その濃淡のどこかに含まれている。
昇降口へ降りる階段に、湿気を吸った掲示物が波のように揺れた。雨はまもなく本降りだろう。傘の骨を意識しながら歩くと、背筋の線も自然と伸びる気がした。
傘立ての間で水滴があつまり、小さな川を作っていた。流れを眺めながら、今日だけの役目でも、確かに誰かの役に立ったと静かに確認する。
たったそれだけで、胸の内側に細い芯が通る。役に立てるという感覚は、広げた傘の骨に似ている。見えないところで形を支え、布を緊張させ、雨粒を流していく。窓の外で最初の雨が弾け、校庭に不揃いな濃淡を描いた。自分もまた、その濃淡のどこかに含まれている。
昇降口へ降りる階段に、湿気を吸った掲示物が波のように揺れた。雨はまもなく本降りだろう。傘の骨を意識しながら歩くと、背筋の線も自然と伸びる気がした。
傘立ての間で水滴があつまり、小さな川を作っていた。流れを眺めながら、今日だけの役目でも、確かに誰かの役に立ったと静かに確認する。